夏の友

宿題

アツさ

同人誌という言葉を知って、それ以来持っていた印象というのは、「ようやるわ……」という醒めたものでした。 どうしてそんなものに金をかけて売るのか。 量的にぺらっぺらのものを売っても元が取れるかどうか、損するかもしれない。 かつて部活で部誌に寄稿した時も、大した作品でもないのによくやるわと自分に毒を吐いたことがあります。 そんな僕が唯一、購入し続けている作家さんがいます。 なんとなく名前は出しませんがなんとなく察して下さい。

その作家さんはポケモン東方project、艦これと僕が好きな作品の二次創作をされています。 ニコニコの配信とかを聞いているとテケトーに生きているような感じもするのですが、作品に注ぐ熱量は確実に他の人達を抜いています。 伴って、作品を提供する際の自分に対しては非常にストイックでいらっしゃると僕は思っています。 作品に向き合い、彼自身の「提供したいもの」とは何かを常に見つめ、それを結実させる。 自分にはとてもできないことだと、彼の作品を手にとって眺める度に痛感します。

その作家さんが苦悩される場面に立ち会う度、あるいはその痕に触れる度、自分がやってきた誰かの真似事をとても恥ずかしく思います。 「あっ、こんなことができたら格好良いな」 きっかけはいつもそう。 それでも長続きはせずに放り投げてしまう。 才能がないとか、そういったもっともらしいことをぼやいて部屋の肥やしにしてしまいます。 でも、彼を初めとする作家さんたちの意気込みってそんな生半可なものでは有り得ないわけです。 自分が損をするとしても、応援してくれる人に報いるために活動を行っているわけですからね。 まずはそれが凄い。自分の提供するものに自信が持てない人間にはできません。 そして、毎回爽やかな感動をもたらしてくれる。 尊敬する人リストを作っても、追いつこうとはしないのが僕の性質です。

自分の人生を見つめ直す岐路に立って、また彼の偉大さに気付かされる次第です。 僕には何ができるのか。