夏の友

宿題

論理と直感

バイトで行っている学習塾で「負の数が絡む四則演算をどう教えたら良いものか」ということで少し話をしていました。
ある先生は、何度教えても負の数の感覚が身につかない子がいて頭を抱えていました。
そのブレーク・スルーになろうとしているのが、先生ご自身で思いつかれた「水の増減」のモデルです。
予め水が入っているコップに目盛が1刻みで入っていて、現在は0の水位にあります。そこに水を注いだり掬い取ったりすることで水の増減を数式とリンクさせ、どうにかしようというアイデアです。
その子は数直線上で同様のことをやってもピンときませんでしたが、水のモデルだとうまく直感につながったようです。
「かけ算わり算はどうするか?」ということでまた新しい壁にぶつかりそう、とのことでした。
私が考えるに、負の数のたし算ひき算の何が難しいかというと、それは「符号」と「たしひき」を同時に扱うことです。
我々は負の数をたすことと、同じ絶対値の正の数をひくことは等しい概念だということを知っています(たとえば、1+(-2)と1−(+2)は等しい)。
だからあまり気にせず教えそうになってしまうのですが、実はそれは感覚的にも論理的にも自明なことではないと思います。
つまり、論理的には「証明すべきこと」であり、感覚的には「自然な考え方だと明らかにすべきこと」です。
中学生に負の数を絡めた計算規則を教えるにあたっては、大学数学で証明した上で命題を使うのと同様に、直感につなげる指導をしなければならないことに気が付きました。
その点で言えば、先に紹介した先生が説明されたことは非常に理に適っているように思います。
生徒が「それは正しい!」と分かるようになることが目的なのですから。