夏の友

宿題

10月6日(日)はれ《束の間》

ここ一週間,本当に忙しかった.自分の受け持ちの仕事が全く時間内に終わることがなく,毎日真綿で首を絞められる感覚をずっと味わい続けていた.半分は外部講師をたくさん招いての説明会,半分は成績処理.特に前者は意義が薄いように感じて,とってもつらかった.中途半端に外部業者が介入しているのも,どこまでやればよいかよくわからなくなって苦しむ原因の一つだった.何とか他の人々の助けを借りながら終えられたので本当に良かった.自分が無事で良かった.端的に言えば倒れるところだったと思う.テスト240枚近くを処理する普通科独特の仕事と相まってこんな目に遭うとは思わなかった.計画的な仕事が大事.まじで.

日付が変わっても仕事をし続けている自分をふと帰り道振り返って,実績解除ってこういうことかぁとやたら笑けていた.こういうことも嵩めば絶対死ぬな,と他人事で笑っていた.他人事ではない.

んで,昨日は遠征試合でバスをチャーターして,片道100kmの道のりを往復してきた.これは半ば自業自得で,部活のゴタゴタを収めるためにブッキングした試合だった.他校の関係者の方からは生徒にプラスになる試合になってよかったと言ってくださってこれもまた救われた.生徒を疲れ果てさせておけばまあなんとかなると思っていたが,帰りのバスの車内のうるさいこと.高校生はざっくり10歳下の存在なのだが,エネルギー準位の違いに驚かされる.


仕事の首が締まる原因の一つは,先週末に東京にぶらっと行っていたことだ.特に大きなアテもなくぶらぶらとしていた.それはそれで実りのあることだった.

今,仕事が嫌で,東京に住みたいと思っている.嫌というのは「嫌」一色ではなく,嫌の気持ちが好きの気持ちを塗りつぶしつつあることを指していると思ってほしい.割りに合わない.理想の姿を追い求めるだけの余力がない.時間もない.そんなことばかりだから,いっそ1年間だけでも環境を替えたい.その思いだ.

東京には,友達がいた.また音楽の趣味がドンピシャで,心の内を全部開けて話ができる,そういう唯一無二の存在がいた.過去形なのは,その友達があまり連絡してくれるなとやんわりと言ってきたからだ.色恋沙汰とかいろいろあるのだろう.でも一緒に酒だけでも飲もうとかそういう気持ちまで一蹴してくれるなと僕は言いたい.言ったところでどうにもならないから言わない.ただただ遣る瀬無い.

だからその友達が居ないのに東京に行ってどうするよ,という気持ちが,今の自分を引き止めている.断っておくと,それだけではなくて,今受け持っている生徒を卒業まで送ってやってからさようならしたいという気持ちとか,新しい車を買いたいけど東京に持っていってもなあという気持ちとか,幾つかの綯い交ぜのおかげだ.

今この文を,割と酔った状態で打ち込んでいる.独りで酒を飲むと,そんな気持ちがどっと溢れてくるだろうから飲まなかった.実際問題今どっと溢れかえっている.秋の夜の涼しい空気と相俟ってだいぶ切ない.むなしい.


首の締まった状態で仕事をしていると,夜が深くなるにつれてだんだんと目が冴えてきて,アドレナリンか何かだろう,変なテンションの上がり方をする.そんな状況に1週間ずっと身を晒してきた.寿命が縮むことに抵抗はないのだが,自分の人生を全うしている気はさらさら起きない.ランニング・ハイから開放されたこの束の間日曜日,ぼんやりと身の振り方を考え続けていた.ボンペイサファイヤのソーダ割りが進む.