夏の友

宿題

5月11日(月)はれ 思い出のまぜそば

昨日は最小限の降車で以てドライブしてきた。その結果疲れて半日ほど寝る、という。悲しみ。

前任地の街で行きつけだったラーメン屋に行った。時短営業とドア開けっ放しで昼間もやっていた。客は一人、昼休憩を取るスタッフが一人。僕が好きなのは台湾まぜそばだ。慣れた手付きで食券を買おうとしたが、流石に2年ほどご無沙汰だと指が中を舞った。

店員に「何をご注文で?」と後ろから声をかけられた。滑舌がお世辞にも良くなくて、僕は曖昧に返した。目を戻すと台湾まぜそばのボタンがあって、ありましたぁなどと言いながら食券を渡す。店員は見たことのないおっちゃんだった。その流れでポイントカードの説明を受けるが、月イチも今後来ないだろう、受け取りつつも流した。断ることも、以前はよく来ていたことを告げるのも、好意をシャットアウトする気力が無くて止めた。

以前仕事終わりに食べに来ていたときは、若いにーちゃんといかにもバイトしに来ました、というギャルが店を回していた。てめえらは雑談しないと仕事できねえのかと不愉快に思うことも何度かあった。昨日はその鬱陶しさも何となく懐かしかった。店員のおっちゃんは、後から来たおしゃべりな客に誇らしげにお仕事トークをしていた。店内に流れる音楽は誰か分からない女性がカバーした80年台曲集だと思う。そのうちに台湾まぜそばが来た。

端的に言うと、薄ら寒い味だった。こんなのだったか? いいや。麺に味気がない。タレは旨味があるものの濃くない。舌の上の思い出は美化されているのか。物悲しかった。ゆっくりすすっているうちに、店員のおっちゃんが「追い飯、良かったです?」とニコニコしながら聞いてくる。ちょうどいいので、とやんわり僕も笑った。

店を出てから、コンビニでホットコーヒーを飲んだ。キリマンジャロと言われてもピンとこず、目を覚ますべしと胃に送った。ついでに買ったたまご蒸しパンが穏やかに甘くて、ほっとした。

さっきのおっちゃんは客に、「来月の企画も、その次の企画も決まっとるんでね、やるべきことやるだけっすよ」と笑っていた。雑居ビルの一角で淡々と予定が流れていくのだろう。旨味が薄いラーメンがどうも物悲しくて、何ともやり切れない日曜日だった。